一般論として、私たちは「大人の感覚」で交通ルールを考えがちです。しかし、その感覚はすべての人に当てはまるわけではありません。 とりわけ小学生はまだ視野が狭く、遠近感や速度の判断も十分ではありません。つまり、「車が止まる」と思い込んで横断してしまう、 「音よりも目の前の動きに反応してしまう」といった特性があるのです。そして、こうした特性が環境の危険と結びつくと、事故に直結してしまいます。
次のグラフをご覧ください。

このグラフは、歩行中の「法令違反別の」死者・重傷者数を「全年齢層」と「小学生」に分けて示したものです。
ここからまず読み取れるのは、全年齢層では「違反なし」が6割を超えており、被害者側に特に違反がない事故が多いのに対し、 小学生ではその割合が4割を下回っているという点です。
その一方で、小学生は「飛び出し」や「横断違反」が大きな割合を占めています。 つまり、小学生の事故は何かに巻き込まれたというよりも、自らの行動が起点となって発生しているケースが多いと考えられます。
これは、発達段階に特有の行動の未熟さを反映していると言えるでしょう。友達を見つけて走り出す、ボールを追いかけて道路に出る… そうした行動はその典型です。
また、信号の意味や交通ルールを「遊びの空間」と区別する力がまだ十分に育っていないこともあるかもしれません。
最終的には、小学生の発達段階に応じた「交通環境」を整えること、そして「教育」のあり方を考えることが重要になります。
ただし、教育といっても大上段から構える必要はありません。「地域の温かい目」こそ、子どもを守る最初の防波堤になります。 小学生の交通環境の問題は、地域コミュニティのあり方そのものとも深く関わっているのです。
